コラム〜と麦

他分野で活躍する各業界のエキスパートが其々の目線で麦を語ります。

パンケーキは誰と食べる?

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関口 将 有限会社ピークロード(マーケティング・プランナー|ワークショップ・デザイナー|フォトグラファー)
今回の小麦のコラムでは、息の長いブームになっているパンケーキについて考えてみました。

10年ちょっと前に「世界一の朝食」と言われたオーストラリアの有名店が初上陸。
その後ハワイの人気店やニューヨークの人気店などが次々上陸、さらに国内でも意欲的な出店が続いて、最近ではブームというよりは、すっかり新しい食文化として定着したパンケーキ。

そんなパンケーキですが、シニアなぼくたちにとっては、どちらかとえいば「ホットケーキ」という言葉の方がしっくりきたりします。老舗の喫茶店では今でも「ホットケーキ」という名前でメニューに載っているも多いし。

もちろん諸説ありますが、パンケーキというのは「フライパンなどで焼いたケーキの総称」ということらしく、案外広い概念。日本でずっと親しまれてきたホットケーキも「パンケーキのなかのひとつ」というのがわかりやすい解釈のようです。

個人的なイメージとしては、ちょっと分厚くてふかふか、バターが真ん中にどかんと載っていて、そこに蜂蜜とか、メープルシロップをたらーりとかける。甘くておいしいのが「ホットケーキ」。
これこれ、この写真のイメージがホットケーキ。
どちらかというとおやつ。子供の頃、ホットケーキミックスでつくってもらったなあ…しみじみ。

一方で、パンケーキという呼び方は、ハワイに行った時とか、日本でもハワイアン・レストランでイチオシメニューになってるイメージ。フルーツが山盛りに添えてあったり、バナナと生クリームがどかっとのっている。
甘くてふかふかなおやつというよりは、明るいテーブルでのおしゃれな朝食な感じが、パンケーキ。


結論からいうと、ホットケーキだろうが、パンケーキだろうがどっちも好きです。

でもですね…ちょっとした悩みがあるのです。

60歳を超えたおっさんが、レストランに一人で行って「パンケーキくださいっ!」とオーダーすることについてのアウェー感…。
まあ、多様性を認め合うべきこの世の中ですから「おっさんがパンケーキって、そりゃないだろ。笑。」って思わないでも良いですよね…。がんばります。

前置きが少し長くなりましたが、今回も「パンケーキ」について掲示板調査を行ってみました。

調査のお題は「あの時食べたパンケーキの美味しかったなーという思い出や体験談」。

〈あの時食べたパンケーキの美味しかったなーという思い出や体験談を教えて〉
※ テキストマイニング分析

テキストマイニング分析では、妻、夫、母、子供、娘といった言葉がパンケーキの周りに埋まっています。そう、パンケーキの思い出は、一緒に食べた誰かとの思い出なんですね。

書き込みを拾っていきますね。

まず、はじめは、パンケーキとデートの物語。

初めてできた彼氏とのデートで人気のパンケーキ屋さんに3時間ほど並んで食べました。正直期待したほどではありませんでしたが、それも二人で笑い合えていい思い出になっています。(30代|女性)

フワッフワの生地のパンケーキは美味しかった。1時間弱並んだ甲斐がありました。周りが女子ばかりの中、恥ずかしがっていた夫を思い出します。(50代|女性)

彼女と初めてのデートで行ったパンケーキ屋さんのパンケーキが忘れられません。クリームたっぷりなのに甘すぎず沢山食べました。(30代|男性)

なんだかいいですね。パンケーキってそれだけで笑顔になる。
続いては、パンケーキと親子の物語。

思い出は子供の頃日曜日に母が作ってくれたホットケーキ。当時は誰もパンケーキとは言いませんでした。(50代|男性)

娘につれていってもらったパンケーキ屋。「美味しいね、このホットケーキ!」と思わず言ったら「パンケーキ」と娘が小声で恥ずかしそうにしてました。ホットケーキではダメなのか?スパゲティはパスタじゃなきゃダメなのか?と思いながらも、娘が御馳走してくれた気持ちが嬉しかったです。(50代|女性)

やっぱり、50代以上は「ホットケーキ」なんですね。笑。
微笑ましいエピソードですね。

原稿を書いていたら、やたらにホットケーキが食べたくなったので、ご近所の「椿サロン渋谷店」さんにおじゃまして、ホットケーキを食べました。

こちらのお店の「北海道ほっとけーき」は北海道の小麦と卵でじっくりと焼き上げたホットケーキ。なんか、ほんと甘くって懐かしくて、美味しいのです。
木彫りの熊が可愛いですね。

椿サロン 渋谷店
東京都渋谷区円山町1-1
SHIBUYA HOTEL EN 1F

ホットケーキでコーヒーブレイクしながら、さらに書き込みを拾ってみました。

続いては、ご家庭でつくるホットケーキの物語。

ホットケーキミックスを使わず、国産の小麦粉を使い、一晩冷蔵庫でイーストを低温発酵させて焼いたパンケーキ。モチッとして味も良くて美味しかった。工程が面倒でさえなければまたやりたいけど…(40代|女性)

手間をかけた分だけ、美味しさも100倍ですね。

幼い頃に母と一緒に作ったんですが、お店で食べるようなフルーツやクリーム、チョコレート等がトッピングされたものでもないし映えもしないもので、ほぼ生地の甘味しか感じなかったんですが、それでもおいしかったのを覚えています。きっと母と一緒に作ったという思い出がトッピングされたからだったのだと思います。(30代|女性)

「母と一緒につくった思い出がトッピング」かあ、いいエピソードですねえ。

そうそう、お店で食べるだけではなく、家庭の味でもありますよね、パンケーキ。
相方とパンケーキの話題で盛り上がっていたところ、実家の近くのスーパーで、国産小麦のパンケーキミックスをみつけました。

東京パンケーキミックス|プレーン
遠忠食品

〈遠忠食品|ホームページの紹介文より引用〉
小麦粉は昭和17年頃に一度完全に姿を消した東京都東久留米市周辺の在来種である貴重な東久留米市産の柳久保小麦を使用100%使用し、江東区宮崎商店の沖縄原料の黒糖と合わせました。コクのある黒糖と香り高い柳久保小麦がベストマッチ!!

相方は東久留米で生まれ育ちました。この小麦も東久留米で生まれた在来種。
なんだかご縁を感じます。
さっそくパンケーキを焼いて、メープルシロップをかけて食べました。
地産地消というのが、最高ですね。昔は、いたるところに麦畑がありましたね。在来種を復活させるなんて、なんて素敵なストーリー。
これからの時代、国産小麦の大切さはさらに増していくかもしれません。

国産小麦のことを考えていたら、小さい頃麦畑でかくれんぼしてたいことを懐かしく思い出しました。

では、また。

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