みなさんはいつ発生するか分からないもしもの時に『麦』が活かせると思いますか?
もしもの時はライフラインが途絶え、加熱出来ない可能性があるので使えないと思っていませんか?
ここで力を発揮するのは大麦粉を焙煎して粉にしたはったい粉!!
コラム①で子どものころおやつの記憶として紹介したあのはったい粉!!
実際にみなさん食べた事ありますか?何度も連呼するには訳があり・・・講演会や講座などで災害時の食を提案する際、いつもみなさんに同じように問いかけるのですが、会場がしーんと静まり返ってしまうことが多いのが実情で寂しい思いをしているからなのです。
関西方面では「はったい粉」と呼ばれることが多いようですが、地域によっては、香煎、おちらし、麦こがし、煎り麦、ゆーぬくなどいろいろな名称があるようです。しかし、どれもご存じないという方にも、一度は是非手に取って見ていただきたい!
災害時にも簡単に使え、日常でも価値のあるフェーズフリーの考え方で今一度はったい粉を見てみると、とても魅力的な存在に思えるのではないでしょうか。まず、ビタミンB₁を含むことで主食中心になりがちな災害時の炭水化物からエネルギー産生を助けてくれます。あの脚気を予防してくれる栄養素と言った方が分かりやすいかもしれません。かの徳川家康はそのことを理解し、積極的に麦ごはんを食べていたとも言われています。さらに食物繊維も多く、日常とは違う精神的にも身体的にも便秘になりやすい場面で腸内環境をととのえ通便を助けてくれることは間違いありません。
では、どうやって食べるのかですが・・・ここからはお好みで。牛乳やお茶などがあれば混ぜるだけで食べられます。はちみつや水飴などを使えば簡単にまとまり、甘みも加わっておやつ感覚で食べられます。写真のものは日本災害食学会で発表した現代版兵糧丸、黒ごまペーストを混ぜて風味豊かで栄養もプラスしたリッチテイストにしてみました。

兵糧丸。
※蜂蜜は1才未満には使用できません。
食べたことが無い方も、是非一度こねこねしておやつに食べてみてください。きっとなつかしい味にホッとするはず!いつものおやつのレパートリーにも加えたくなってしまうはず!
いつもの時ももしもの時も主役になれる『麦』たちですが、その中でも特に健康効果を積極的に活かせるはったい粉にご注目ください!!
変幻自在の大麦料理に挑戦!!
小麦粉も大麦粉も見た目は同じように見えますが、そこには大きな違いが!!
小麦粉には薄力粉、中力粉、強力粉と大まかにグルテン量で分かれていますが、大麦にはそのグルテンがありません。そして、グルテンが無いということは当然料理に影響します。同じくグルテンが無い米粉のように、大麦では小麦粉のパンのふわっとした膨らみは出せません。でも、発想の転換で薄くパリパリに焼き上げると…美味しいピッツェルの出来上がりです!!

ピッツェル
でも、ふわふわも諦めません!
あくまでも大麦100%にこだわりチーズケーキ!!

ヨーグルトチーズケーキ
そしてふわふわの代名詞でもあるシフォンケーキだって!!

シフォンケーキ。
大麦粉の苦手なことも、パズルの組み合わせのように食材を組み合わせていけば何でもできそうでしょ?
カップケーキやお団子はアッという間に簡単に出来ちゃいます。
甘味を控えパンケーキやお餅にすれば主食にも。
嬉しいことに災害時でも耐熱ポリ袋を使えば湯せんでできる優れもの。
お子さまと一緒につくっていただけるレシピの完成です。

だんご
もちろん、天ぷらもから揚げも問題なく。カラッとサクサクの仕上がりに。

天ぷら
油との相性が良いので、生クリームで作るスコーンも絶品です。

スコーン
大麦料理は楽しい!!
大麦をお団子状にすることは既にご紹介しましたが、水分量で固さを調整してシチューやあんかけのようにとろみにすることも可能です。料理のソースづくりにも活用できますし、フルーツとミキサーにかけながら濃度をお好みにしてぷるぷる食感デザートにも。

アイス
さらに、それを凍らせればそれだけでアイスに!!

パイナップルアイス
お好きな果物や野菜を合わせるだけの簡単アイスは、素材の果物や野菜と大麦というシンプルな組み合わせなので、アレルギーをお持ちの方やヴィーガンの方にも食べていただけます。もちろん、牛乳や豆乳、生クリームを加えてリッチテイストにしたり、きび砂糖、黒砂糖などお好みの甘味を加えたり自由自在。美味しくヘルシーなので是非お試しください。
昔から存在しているのにまだまだ未知な部分を秘めている大麦、使ってみたくなったでしょ?
ちなみに小麦や米と同じようにイネ科の食物なので「もち種」「うるち種」があり、それぞれに特徴があります。ここで主にご紹介したのはうるち種ですが、まずはチャレンジを楽しんでみてください。
いつだって、誰だって食べることは大切です。日常の延長線で発生する災害時に、そのまま食べられるはったい粉は必須です。他にも耐熱ポリ袋を使えば湯煎で蒸しパンやお団子も簡単につくれるのでお勧めです。アウトドアでも楽しんでいただけると思います。いつもも もしもも大麦があれば安心です。
私もチャレンジを楽しみながら、これからも多くのみなさまに大麦を身近に感じていただけるレシピを発信していきます!!
ご期待ください(^^♪

書籍「防災レシピ」