コラム〜と麦

他分野で活躍する各業界のエキスパートが其々の目線で麦を語ります。

めくるめくおかずパンの世界。vol.2

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関口 将 有限会社ピークロード(マーケティング・プランナー|ワークショップ・デザイナー|フォトグラファー)

この回からお読みになった方、はじめまして。
ようこそ、めくるめくおかずパンの世界へ。

マーケッターの視点で小麦のコラムを書いています。
おかずパンのよもやま話を書くつもりで始めた前回のコラムは、アンケート調査における「揚げパンの圧倒的な強さ」によって、「揚げパンのよもやま話」になってしまいました。

しかし、30代から60代まで、全ての年代で
「思い出のおかずパンといえば揚げパンである」
という結果にはちょっと驚きました。
(※ 前回のコラム参照)

さてさて今回のコラムは、揚げパン以外にもまだまだあるおかずパンたちの話をしていきたいと思います。

前回も使用した全国男女500名のアンケートで、改めて回答者全員の「思い出のおかずパン」をテキストマイニング分析してみました。

テキストマイニング分析というのは、一言で言うと膨大な文章データを単語の出現頻度や関連性によって可視化する分析手法。今回は「思い出のおかずパンを教えてください」という質問に答えていただいた人のコメントをテキストマイニング分析。
青字は名詞、赤字は動詞、緑字は形容詞となっています。

※分析ツール:ユーザーローカル

〈全国500名・男女|思い出のおかずパン〉

前回とりあげた揚げパン、焼きそばパン以外ではメロンパン、クリームパン、カレーパン、あんぱん、チョココロネ、コロッケパン、甘食といったパンに思い出話が多いようですね。

お寄せいただいた
「おかずパンの思い出」
のなかからいくつかご紹介させていただきましょう。

〈群馬県|女性|50代〉
町のパン屋さんで、食パンにこれでもかというくらいマーガリンをぬってもらって、みどり色の紙にパンを包んでもらい、買い物の帰り道に母親と一緒にそのパンを食べながら家に帰った。

帰り道の途中にあるいつものパン屋さん。
「みきちゃん、マーガリン、大好きだったよね。」
マーガリンを分厚く食パンに塗りながら、お店のおじさんが子どもに声をかける。
「ほんと、いつもすみません。」とあやまるお母さんと、満面の笑顔のみきちゃん。
その背景には、平家の家並みの向こうに沈んでいく夕陽…。
あ、勝手に三丁目の夕日の映画シーンを作ってました。あはは。
群馬県のどちらの町でしょうか。
食パンを包んでもらったみどり色の紙、鮮明な思い出なのでしょうね。

〈岡山県|男性|60代〉
鹿児島県の小さな村で生まれたので子供の頃に今みたいなおしゃれで美味しい菓子パンなどは食べた事がありませんでした。パン屋などは無くて、雑貨屋さんに駄菓子が置いてある位の所でしたが、時々トラックで魚や肉を売りに来る行商の人がいてその車にパンも置いてありとても楽しみにしていました。
あんぱんや食パンに混じってカレーパンがありおばあちゃんにいつもねだって買ってもらっていました。ささやかな思い出です。

都会から離れた小さな村。
そこには週に2回ほど、トラックで行商のおじさんがやってきます。
行商のおじさんが回ってきた時に、家族に必要なものを買いに行くのは、ぼくとおばあちゃんの役割。
なぜって、ぼくにはその役割を自分から買って出る理由があるのだ。
お母さんは
「カレーパンじゃなくて、あんぱんにしなさい。」
っていつも言う。
その理由はよくわからない、よくわからない、ぼくにはよくわからない。
ね、おばあちゃん、ぼくはカレーパンが食べたいんだ。
ね、いいでしょ?
妄想ストーリーの中で、鹿児島県の山間、自然の風景が目の前に広がります。

〈愛知県|女性|40代〉
小さい頃は食パンを食べきれなくて嫌々食べていたが、ある時母が食パンを9等分に切り、一口サイズにした上でそれぞれジャムやチョコレートクリームなど色々な味の変化をつけてくれた。かわいくて食べやすくてあっという間にぺろりと食べてしまった。
ひと手間かけた工夫であまり食べたくないものが食べたいものになり、いつも食べきれなかったのにこの時は足りないくらいだった。子供ながらにこの母マジックはすごい!と感じた思い出がある。

お母さんマジック、ほんとにすごい。
9等分の小さな食パンは、水彩絵の具のパレットのように、きれいで楽しかったことでしょうね。

〈滋賀県|30代|女性〉
祖父母の家の近くにあったパン屋さんのあんぱん。翌朝の朝ごはんに楽しみにしていたのに、祖父がいつの間にか食べてしまっていて、すごく怒ったことが懐かしい思い出です。

じいちゃん、あんぱん食っちゃったんですね。
この投稿を読んでいて、なぜか、ちびまる子ちゃんの友蔵の姿が頭に浮かんできました。

〈広島県|男性|60代〉
小学校の給食に出ていたコッペパン。これが懐かしくて今の菓子パンでは見つからないのです。どこに行ってしまったのでしょうか。今でも夢に出てきます。

〈埼玉県|女性|30代〉
小学生の頃、近所の商店へ昼ご飯を買いにいくおつかいをよくしていました。その商店には、店主のおじさん手作りのタコ焼、お煎餅、焼き鳥、惣菜パンなど色々ありました。当時はポテトサラダがたっぷり挟まったサンドイッチがなぜか苦手でしたが、商店が無くなった今では無性に食べたくなります。

お店が亡くなった今では苦手だったのになぜか無性に食べたくなる…。
子供の頃食べたおかずパンには、いろんな思い出がつまっているのですね。

さて、最後にメロンパンとクリームパンの話。

〈北海道|女性|50代〉
メロンパンとクリームパンが大好きでした。私が子どもの頃は土曜日もお昼前まで授業があったので、土曜日は学校から帰ってきたらお昼ごはん用に親からお金をもらい、妹と近所の商店にメロンパンやクリームパンを大喜びで買いに行ったことを思い出します。
食パンも朝ごはんや休日のお昼ごはんに食べましたが、やはり土曜日のメロンパン、クリームパンは特別な感じがありました。

メロンパンとクリームパンは、妹と手を繋いで買いに行った特別な味。
素敵な思い出ですね。

この投稿を読んで、メロンパンとクリームパンが無性に食べたくなり、さっそくパンを買いに出かけました。

フェルムラ・テール美瑛 渋谷 東急フードショー店

東京都渋谷区道玄坂1-12-1 渋谷 東急フードショー

写真のメロンパンとクリームパンを買ったのは渋谷東急 フードショーにある「フェルム ラ・テール美瑛」というお店。
フランス語で、フェルム=農場、ラ・テール=大地。
直訳すると「大地の農場」という意味のこの店では、北海道の美瑛産小麦を使用。
見るからにやさしい味がしそうな、メロンパンとクリームパン。
クリームパンはこっちに向かって笑ってる。

メロンパンとクリームパンの投稿をくださった女性も北海道出身。
なんだか美瑛町の長閑な風景が浮かんできます。

北海道の美瑛町は、ドラマ「北の国から」でも有名な北海道の大自然、農場が広がる場所。

ぼくは写真が趣味でもあるのですが、今から18年前の2003年に北海道の美瑛町を旅した時の写真がありました。

こんな雄大な風景の中で育った小麦。美味しくないわけないですよね。

大地の恵み、いただきますっ!
では、また。


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