コラム〜と麦

他分野で活躍する各業界のエキスパートが其々の目線で麦を語ります。

小麦と腸活

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重野佐和子 腸活料理研究家

こんにちは。腸活料理研究家の重野佐和子です。

前回は、「大麦と腸活」がテーマでした。もうお読みいただけましたか?
私が腸活をはじめたきっかけは大腸がん手術で、術後のガンコな便秘対策のために大麦を食べるようになったこと。食物繊維をバランスよく含む大麦は、日本で急増した大腸がんから守ってくれるのではないか?といったお話しをさせていただきました。

今回も、腸の視点から麦を見ていきたいと思います。テーマは「小麦」です。

突然ですが、スイーツはお好きですか?
チョコレートや生クリーム、バターなど乳製品たっぷりのケーキが、私は大好きです。
ところが大腸がん手術後は胃腸の消化が落ちたため、ケーキを食べるたびに気分が悪くなるように、、、。また「欧米型食生活が大腸がんの要因」と言われているため、ケーキを食べることに罪悪感を抱くようにも。

けれど「ケーキを食べない」という選択肢は私にはないので・笑、バターや生クリームなどの乳製品を使わないケーキを自分で作ろうと決意!! おなかの健康に役立つよう、食物繊維たっぷりな(ビタミンも!!)「かぼちゃのパウンドケーキ」作りにとりかかることに。

フランス料理教室を主宰していたため、各国の小麦粉をストックしていました。

そこで色々な小麦粉でケーキ作りをスタート!!

何種もの小麦粉で作った結果、いちばん気に入ったのは「南部地粉」のパウンドケーキでした。

この粉はパスタ用にストックしていた中力粉。グルテンが多めだから生地はちょっとしっかりめ。
ケーキの持ち上がりはとてもよく、適度な弾力がかぼちゃとマッチして食べ応えも十分。なんといっても焼き上がりの香りが芳ばしい! 鼻をくすぐる、たまらない。
あらためて南部地粉の良さを認識しました。

こんなにたくさんかぼちゃが入ってもケーキがつぶれない。

粉の力が強いにもかかわらず、優しい味わい。

 

ところが野菜のケーキ作りがひと段落すると、今度は「もっと罪悪感なく食べられるおなかにいいケーキ」を作りたくてたまらない!!

つぎは食物繊維たっぷりケーキよね♪とひらめき、「おから」たっぷりなケーキ作りをスタート。
朝ごはんにも食べたいから、短時間で焼けるマフィンスタイルを選択!

おからはいつものお豆腐屋さんの、国産大豆おからを使うことに。
粉は何を使えばうまくいくか、だな、、、

まずは南部地粉で。
絶対うまくいく!! と思ったのに、、、生地が重く硬くなってしまった、残念。
でも、おからと南部地粉の風味の相性はとても良いな♪と感じました。

もっとかるく焼くには、スーパーで売ってるふつうの粉がベターかな?と思い作ってみると、
生地はフワフワなのですが、おからの臭いが気になる。
けれど、おからの量を減らせば匂いは気にならないはず、、、。ちょっぴりヘルシーにしたい人にはピッタリね♪

私はかなりヘルシーにしたかったので試作を続け、ふたつの小麦粉で納得のマフィンが焼けるように。

ひとつは岐阜県産の薄力粉「イワイノダイチ」

自家用で天ぷらなどに使ってたけれど、ケーキに使うのは初めてでした。
生地は「かるめ+モチモチ」。 おからのシコシコッとした食感を感じ新鮮!! 焼き上がりの小麦とおからの香りの相性もバッチリ。

もうひとつは北海道産の薄力粉「きたほなみ(ドルチェ)」

今やお菓子作りの定番小麦粉ですね。
イワイノダイチよりもタンパク質が多いため、比較するとモチモチ度が高く食べ応えあり。そのおかげか生地とおからが一体化。

ほろふわっ♪とした今までにない食感が生まれ、焼き上がりの香り立ちもとても強い。

 

*同じく、きたほなみ100%の「ファリーヌ」や「シュクレ」、「クーヘン」でも美味。クーヘンは少しタンパク 質が多いため、ややどっしりした焼き上がりになります。

どちらの小麦のマフィンも、頬張ると「小麦+おから」の独特な風味が優しく力強く口に広がる。おから臭さは感じない。小麦がおからを包み込んで新たな味わいを作り出した???
「不思議な味わい」が生まれちゃった!! そんな気さえするのです。

昔から、「同郷の材料は相性がいい」と言います。

南部地粉を含め国産小麦粉とおから(国産大豆)の風味がマッチするのは、日本の素材同士だからですね♪ だからきっと自然なことなのでしょう。

さてこのマフィン、、、私のおなかに効果絶大で、食べ始めてから頑固な便秘が解消。

便秘への不安が薄らいでいきました。腸はストレスに弱いといいます。便秘の不安が便秘を生んでいたのかもしれませんね・笑 今では毎日食べることはなくなりましたが、お守りとして冷凍庫にいつもストックしています!!

もちろん食物繊維を食べるだけで腸は健康になりません。けれど食物繊維を食べなければ腸内環境は乱れ、腸の健康は保てません。
かつての私と同じように便秘に苦しんでいる人に、ぜひ食べてもらいたいと心から思います。真逆な話しなようですが、消化がよいのでおなかが緩くなりがちな方にも大人気。オススメです。

最後におからマフィンの簡単レシピを紹介します。

このマフィンは国産小麦粉の力を借りて美味しさを発揮します。もしお手元にあれば、ぜひ国産小麦粉でお試しくださいね♪

おからマフィン

    材料*5-6個分

  • =マフィン生地=
  • 薄力粉 100g
  • 生おから 120-150g
  • たまご 2個
  • 砂糖  45-60g
  • 植物油 大さじ2.5
  • ベーキングパウダー 小さじ2
  • 成分無調整豆乳 1/3カップ

*参考 マフィン1個の食物繊維量 約4g

  1. ボールに卵と砂糖を入れて泡立て器でよく撹拌し、植物油と豆乳を加え混ぜる。
  2. おからを加えよく混ぜたら、薄力粉とベーキングパウダーをふるいながら加え。ゴムベラに持ち替え混ぜる。
  3. マフィンカップに分け入れ、180度のオーブンで15-18分焼けば出来上がり。
    好みでアーモンドスライスや、りんごやオレンジなど好みのフルーツをのせて焼くと美味。

*1不溶性食物繊維が多いため、十分な飲み物と一緒に召し上がってください。
*2重度の便秘の方はお避けください。

さいごまでお読みいただき、ありがとうございました。
またお会いする日を楽しみにしております。

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