コラム〜と麦

他分野で活躍する各業界のエキスパートが其々の目線で麦を語ります。

五感で味わう【ビール×キャンプ】の極上ペアリング

TEXT&PHOTO

内舘綾子 アウトドアライター
キャンプ場に着いたらまず何をするか。そりゃもちろん、「とりあえずビール」です。

はじめまして、アウトドアに関する記事を執筆しているライターの内舘綾子です。
幼少期の経験から『子供が生まれたら、父が教えてくれたキャンプがしたい』と思うようになり、2014年娘の誕生をきっかけにファミリーキャンプに目覚めました。

【2018年生まれの息子は生後3ヶ月にキャンプイン。現在8歳と4歳になる子供たちは、年齢=キャンプ歴な“ちびっこキャンパー”として、「どこでも寝れる」という特技を身につけ愉快に成長中。】

ファミリーキャンプの楽しみとは


そんな子どもたちと行くキャンプの楽しみは、なんといってもアレです、アレ。
そう、『ビール』。
こんなことを綴ると、なんて自分勝手な親なんだと思われるかもしれません。ですが、私にとって「キャンプで飲むビール」というのは格別で、母になっても欠かすことのできないルーティンなのです。
(無論、マナーと節度を守った飲酒を心がけております。)

普段「宿題は?手を洗った?早く食べなさい!」と、まるで鬼監督のような私。
キャンプではそんな自分を封印するためにも、「とりあえずビール」の合図でご機嫌スイッチをオンにして、自分自身もとことん楽しみます。

子供だけでなく、大人ものんびり好きなことを追求する。それが我が家のキャンプの楽しみであり、自然と笑顔が絶えない愉快なファミリーキャンプに繋がっているのかなと思います。

ビール×キャンプの沼が深い

いつも飲んでいるビールが、キャンプだと何倍も美味しいと感じる。ビールに限らず、吸い込む空気ですら「あ〜生き返る〜」と唸るほど。
自然の中という開放感から五感が研ぎ澄まされ、豊かな麦の旨味や爽快さが一層広がり、心と体が満たされる感覚です。
きっとこれがビール×キャンプにハマるきっかけとなる、“沼への入り口”なのかもしれませんね。

訪れるキャンプ場の土地ならではの「クラフトビール(地ビール)」を堪能するのも楽しみのひとつ。最寄りのスーパーや道の駅、キャンプ場で販売しているところもあります。
その土地ならではの食材やクラフトビールには個性があり、印象深く、より忘れられない味や場所となるのです。

ビールを選ぶ際はパッケージに惹かれて購入することもあります。気に入ったものはキャンプシーンに合わせて撮影し、記録として保存。
以前SNSに某ビールの写真をアップしたところ、生産者さまからコメントをいただくという大変貴重で嬉しい出会いもありました。

最近のお気に入りは“キャンプに合うビール”として作られた「farm hack-SUMMER-」。島根県出雲市のブリュワリー「3rd Barrel Brewery」と、自身がライターをつとめるキャンプ・アウトドアマガジン「CAMP HACK」とのコラボレーションビール。
出雲の綺麗な水と、丁寧に仕込まれた麦・ホップ・酵母を原料としたスッキリフルーティで爽やかなビールです。

このビールの麦芽から絞り出たモルト粕は、栄養分の高い肥料として再利用し次回製造の苗と共に散布。ビール作りはSDGsに通ずるものがあると、あらためて知るきっかけとなった1本でもあります。

人生を豊かにしてくれるビール×キャンプの世界

この記事を執筆するにあたり今までのビール×キャンプ写真を振り返ると、どれも幸せで最高のひとときだったなぁとしみじみ……。
キャンプ場に着いたら「とりあえずビール」のルーティンは、確実に自分の人生を豊かにしてくれていると気付きました。
同時に、美味しいビールの原料である麦芽、ホップ、水、それらを生み出す自然に感謝し、引き続き環境に配慮しながらビール×キャンプを楽しみ少しでも貢献できればと思うのです。

次はどこのキャンプ場へ行こうか、どんなビールに出会えるだろうか、子供たちが二十歳になった時の乾杯ビールは何にしようか……。
直近の楽しみから十数年先の未来までワクワクさせてくれる、ビールとキャンプ。
子供たちが大人になった時、広いキャンプ場で美味しいビールが堪能できるように、日本の豊かな自然や麦を守っていきたい。
その時の乾杯の合言葉はきっと「とりあえずビール」でありますように。

SHARE