皆様、はじめまして。
元コーヒー嫌いのバリスタ 「ぎっさん」こと、柳 隆晴と申します。
普段は都内のカフェでバリスタとして働きながら、ラテアート教室を運営したり、コーヒー関連の記事を執筆する活動をおこなっています。
今でこそコーヒーが大好きなのですが、学生時代はコーヒーが全く飲めず、むしろ嫌いでした。
では、なぜカフェで働くようになったかといいますと
「カフェ店員ってカッコいい。モテそうだ」と思ったためです。
最初の動機は不純でしたが、コーヒーを通して色々な人たちとつながりが出来たり、仕事を通して成長できたり。
コーヒーは自分にとってかけがえのないものになっていき、気づいた時には飲めるようになっていました。何だかんだで、カフェ業界に20年以上在籍しています。
そんな私ですが、現在Dreamin’B Sumiyosiという、東京の住吉にあるベーカリーカフェで働いています。まだオープンしてから3ヶ月ほどのお店です。
自店舗で様々なパンも焼いており、多いときには1日に100種類以上のパンが焼かれたりしています。
コーヒーとパンはとても相性が良く、パン単体で食べても美味しいのですが、コーヒーやお酒とのペアリングをすることで何倍にも美味しくなってくると思います。今後は、ただパンを販売するのではなく、バリスタとしてそのような楽しさも提案していければと思っています。
これだけカフェ業界が長いのだから、パンにも詳しいんでしょ!?
そう思われた方もいらっしゃると思いますが、正直そこまで詳しくありません。
むしろ、本格的なベーカリーで働くのは初めてです。
実は、今のお店に入社したとき、最初は製造の研修もありました。
そこで、色々な小麦を使ってパンを作っていることを知り、小麦によって味わいが変わってくることを知りました。
うちのお店は海外の小麦も使用していますが、国産の小麦も多く使用します。
商品によっては「◯◯産の小麦を使用した」と、小麦を全面に打ちだしているものまであります。
今回、少しですがうちのお店で使っている小麦、商品についてご紹介させていただければと思っております。
京都産の小麦
うちのお店の特徴の1つに、京都産の小麦(京小麦と呼ばれているそうです)を使用している点があります。
私は知らなかったのですが、パン屋さんで京都産の小麦を使用しているところは珍しいとのこと。
そのような京小麦ですが、グルテンが強く、製パン性に優れるのが特徴で、もちもち・しっとりとした食感のパンをつくることができます。
また、京小麦の良さを伝えるため「京小麦の収穫祭」というイベントを井澤製粉株式会社が毎年開催しているそうです。
うちの店では「京小麦の手ごねバゲット」という商品を提供していますが、人気メニューの1つでこれを求めるために来店される方もいらっしゃいます。
北海道産スペルト小麦
北海道は、日本の小麦生産量でダントツの1位を誇る地域です。
スペルト小麦というとあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
スペルト小麦は、現在広く利用されている普通小麦の原種にあたる古代穀物です。9000年以上前にヨーロッパで栽培されていたと言われています。
また栄養価も高く、優良な油脂分が多く、ナッツのようなコクと風味があり、普通小麦にはない味わい深さも特徴の1つです。
うちの店では、スペルト小麦を使ったカンパーニュとフィナンシェを提供しています。
三重県産あやひかり
意外だったのですが、三重県は日本の小麦生産量で5位を誇ります。
その中でも「あやひかり」は全国生産量の約8割が三重県産と言われています。
「あやひかり」という品種の小麦ですが、もちもちとした食感の特徴を持つ小麦です。あやひかりを使うと、お菓子はふわふわに、パンはモチッとした食感に仕上がります。
北海道「株式会社山本忠信商店」はるきらり
山本忠信商店は「顔の見える流通」を目指しています。トレーサビリティと呼ばれ、生産者から製粉工場、そして製パン業者まで。一通りの流れが目に見えることで、消費者も安心して購入することができ、また生産者も正しく評価される仕組みをとっています。
うちのお店では、その中でも「はるきらり(春に種を蒔く品種)」100%の小麦粉を使用したリュスティックを提供しています。
はるきらりは、フランスパン(バゲット)向けの小麦粉ですが、ゆめちから(秋に種を蒔く品種)と合わせることで、ハードトーストにしても甘みが引き出されモチモチでフワフワの食感を得ることができるのが特徴です。
最後に
後半は自店舗の商品紹介になってしまいましたが、いかがでしたか?
バリスタの視点で考えると、パンという存在は「仲の良いお友達」だと思っています。
コーヒーだけ、パンだけでも美味しいですが、一緒になることで何倍にも美味しくなります。
私たちバリスタは、パンとコーヒーのマリアージュを提案することで、新しい価値や発見をたくさんの方に伝えていく。そうすることで、コーヒーや小麦業界も盛り上がっていくのではないでしょうか。
私もコーヒーだけではなく、もっと小麦にも目を向け発信していきたいと思っています。